地域力再生に向けた地域の活動事例

更新日:2011年2月14日

子どもたちの夢がいっぱいつまった公園 −実現に向け、地域、ボランティアが協力−

 
 

市立神石小学校(堺市)

◆きっかけは理科栽培委員会の調査からけんさきひろば2
 堺市南部に源を発し、市内を北流して大阪湾に注ぐ石津川は、水質が悪く汚かったことから「石津川には遊びに行くな」と子どもたちの間でも言われていたそうです。
 本校の活動のきっかけは、理科栽培委員会の子どもたちが校区を流れる川を守り大切にしようと調査を始めたことでした。調査を進める中で、清掃や維持管理などいろんな人たちが川と関わっていることがわかってきました。
 その人たちと協力しながら、「親しめる石津川」という共通のテーマで活動を開始したところ、最初はゴミ拾いだけでしたが、水質調査、水生生物の観察、ヨシ原の再生活動など次々と活動が広がっていったのです。

◆子どもたちがジオラマで作った夢の公園
 活動を行っていく中で、「周辺住民の人たちが川に親しみを持ってもらうためには何が必要か」について、子どもたちがアンケート調査を実施したところ、最も多かった意見が「休憩できる広場がほしい」というものでした。
 普段活動している石津川と支流の百済川が合流する地点は「けんさき」と呼ばれ、柵に囲まれた三角地で、以前から不法投棄が絶えない場所でした。この場所を「休憩できる広場」として活用できないか、「こんな公園があったらいいな」と子どもたちはイメージし、理想の公園をジオラマで作成しました。
 石津川を管理する大阪府の鳳土木事務所にこのジオラマを持って行き応援をお願いしたところ、快諾していただいたうえ、ジオラマを基にした完成予想図まで作成していただきました。

◆子どもだけの「川づくり」から「まちづくり」へかんせい
 公園づくりという夢の実現に向け、地域やボランティアの人たちには積極的に協力していただきました。当校区は旧村も含み、昔から地域活動が活発な地域ですが、鳳土木事務所の紹介で、他の地域のボランティアの人たちも応援に駆けつけていただきました。
 その結果、平成22年3月、ついに子どもたちの夢がいっぱいつまった「けんさきひろば」がオープンしたのです。
 「けんさきひろば」入口には木製の立派なゲートがあります。これは、和泉市父鬼町の「北野木材」さんが、地元の公共用の廃材を製材・加工のうえ設置いただいたものです。
 「けんさきひろば」のベンチ、イスは、石津川で活動する河川ボランティアの「石津川に鮎を」さんが原材木を調達し、「北野木材」さんが加工を、防腐処理は、神石小学校の児童及び校庭の芝生を維持管理するため、学校・地域・保護者で構成する「みどりの会」の皆さんによるものです。
 また、「けんさきひろば」には、石津川に生息する生物を掲載した掲示板があります。これは「石津川に鮎を」さんの呼びかけに応じて、「堺泉北ロータリークラブ」さんから寄贈していただいたものです。
 花壇は地元の人たちに作っていただき、石津川支流の陶器川で美化活動に取り組む「アドプト・リバー・陶器川」さんからいただいたガザニアを植えています。
 公園の舗装は、鳳土木事務所にご協力いただき、竹を下地に木のチップを敷くという2層構造にし、雑草の生育を防いでいます。竹は槙尾川の河川敷で伐採されたものを、チップは大泉緑地で伐採された木を有効利用しています。
 このように多くの人たちのご協力により、「けんさきひろば」は完成しました。
 
◆活動の成果せいぶつ
 本校では、水の浄化に役立つヨシを育て、ヨシ原の再生による石津川の水質改善にも取り組んできました。成長したヨシは刈り取って紙すき体験をしたり、ヨシ船を作って川下りをしています。
 子どもたちが自然に興味を持ち、環境を守っていこうとする意識が高まっていくのと比例するかのように、石津川の水質も徐々にですが改善され、生き物の数も増えてきました。平成21年6月には、「けんさきひろば」近くでついに鮎が見つかりました。「石津川に鮎を」さんの地道な活動の成果ですが、ヨシ原再生活動も少しはお役に立てたかなと思っています。
 子どもたちや地域の人たちの石津川に対するイメージも変わりつつあります。アンケート調査では、「汚い川」のイメージが年々減少し、「生き物が多い川」という割合が増え、「生き物が増えている川」と認識されています。
 今後、「けんさきひろば」周辺を桜並木で整備することができればと考えています。 
 子どもたちが始めた活動ですが、保護者や地域の人たち、さらには他の地域のボランティアへとつながりが広まるとともに、これらの人たちによって支えられてきた本校の活動が評価され、平成21年度には秋篠宮殿下ご臨席のもと、地球環境大賞を受賞しました。

◆さいごに
 子どもたちによる活動は、地域やボランティアのご協力と前任の校長ほか歴代校長の努力によって続いてきました。
 今後も地域やボランティアの人たちとの「協働」意識を育みながら、息長く活動を継続していきたいと考えています。
 神石小学校校長
                 (堺市立神石小学校と永井校長)
 
 
 

このページの作成所属
府民文化部 男女参画・府民協働課 

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