脊椎と脊髄は異なります。骨と神経の違いです。
脊椎と脊髄の関係は次ページの[図1]で、脊椎の詳細は[図2]で、脊髄の詳細は[図3]で、図示しています。
背骨(脊柱)は体重を支えるとともに身体を動かす必要があるので、こぶし大の骨(脊椎骨)が26個積み木状に連なって形づくられています。[図1]
その脊椎骨の中程には脊椎孔(せきついこう)[図2左]という空間があり、脳から続く管(チューブ)状の中枢神経が縦に通っています。これが脊髄で、管の中は脳脊髄液で満たされ、人差し指ほどの太さの脊髄神経の本体が浮かんでいて、その中心管[図3左]にも脳からの脊髄液が流れています。
脊椎(脊柱・背骨)は、頚椎(けいつい=首=7個)、胸椎(きょうつい=胸=12個)、腰椎(ようつい=腰=5個)、仙椎(せんつい=骨盤=5個、ただし形状は仙骨として1個)の4つの領域に区分けしています。全体の総称が「脊椎」です。
脊髄も、4つの領域に区分けされていて、それぞれ頚髄(けいずい)・胸髄(きょうずい)・腰髄(ようずい)・仙髄(せんずい)と呼びます。全体の総称が「脊髄」です。
脊髄には、手足で受けた刺激を脊髄から反射的に直接筋肉にはねかえす脊髄反射[せきずいはんしゃ=カッケの検査に使われる膝蓋骨=しつがいこつ反射反応など]の役割があります。
なお、脊椎損傷だけでは骨の損傷なので末梢神経のマヒも脊髄神経のマヒも起こりません。末梢神経や脊髄神経が損傷してマヒが起こります。
脊髄と脳は神経細胞の集合体で、神経細胞からは情報をやり取りする神経線維が脳内や脊髄内を上下に伸びていて、感覚や刺激などの内外の情報を受ける受容器からの信号を受けて、判断処理して、それを筋肉などの効果器へ発信する働きをする役割を持っているので中枢神経系と言います。
この中枢神経系と皮膚・感覚器官・筋肉・腺などとを連絡する神経を末梢神経と言い、脳から出る脳神経と脊髄から出る脊髄神経があります。
末梢神経はその働きから、脳・脊髄から信号が出て行く側の遠心性神経と、脳・脊髄へ信号が戻ってくる求心性神経とに区別されます。
また、筋肉などを動かす運動神経と、触覚、位置、痛み、温度などの感覚を伝える感覚神経と、意思とは関係なく発汗機能、内臓機能、内分泌(ホルモン)機能の作用を管理して体調を整えるための自律神経の別があり、自律神経は、さらに、興奮させる働きの交感神経と鎮める働きの副交感神経に区別されます。
運動神経と感覚神経は、それぞれまとまって脊髄神経の(腹側の)運動神経根と(背側の)感覚神経根につながっています。[図3]
脊髄を損傷すると、損傷したところとそれより下位のこれらの神経系すべてに影響が及びます。
図1から図3は、脊髄損傷ハンドブック 改訂版・新地書房より
脊柱はしなったり動かせたりできるように、各脊椎骨と脊椎骨は組み合わさって関節になっています。そしてその間にはクッションの役割をする椎間板がはさまっています。この各脊椎骨の連結部(髄節=ずいせつ)で、脊髄は手足や内臓など全身に伸びる末梢神経に枝分かれしています。
髄節は31対あり、おおよそ、頚髄で手や腕の、胸髄で胸・腹部の、腰髄は 腰部や足の末梢神経につながっています。
そのため、筋力低下や感覚マヒなどの機能損失(神経の損傷)が体のどこに起きたかに着目すれば、どの脊椎・脊髄に損傷が生じたかを特定することができます。
※ 各髄節から枝分かれしている末梢神経についても、1番上の頚椎骨(第一頚椎骨=C1)の上、第1頚椎節(つなぎ目の意)から出ているのをC1(第1頚髄神経)、第7頚椎の下、第8頚椎節から出ているのをC8(第8頚髄神経)と番号が付けられています。
胸椎・腰椎・仙椎については、頚椎と異なり各椎骨とその下から出てくる神経の番号が一致し、各椎骨の下から、胸椎ではT1からT12、腰椎からはL1からL5、仙椎からはS1からS5の各神経が出ています。
※ 向かって左側が感覚の領域と、向かって右側が運動の領域と各髄節の関係を表示しています。なお、この図ではTをThと表記
向かって左側と体幹の色分けは、各髄節領域の区分けで、Th4は文字表記の下、乳頭の上の真横に一文字の網掛け部分を、L1鼠径部は文字表記右下の斜めの網掛け部分です。
文字で位置がわかるものについては網掛け表示していません。
図中の矢印は、各関節や筋肉の動かせる方向を示しています。
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福祉部 障がい福祉室地域生活支援課 地域生活推進グループ
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