平成22年度第23回大阪府戦略本部会議 議事概要【議題1】

更新日:2015年8月5日

議題1 槇尾川の治水対策

資料名

PDFファイル

その他のファイル

資料1-1 「槇尾川の治水対策について(私の判断)」(骨子案)

  [PDFファイル/38KB]]

 [Wordファイル/57KB]

資料1-2 槇尾川の治水対策について(槇尾川ダムの検証)

 [PDFファイル/61KB]

 [Wordファイル/82KB]

資料1-3 「槇尾川治水対策に関する地元住民と知事の意見交換会」の概要

 [PDFファイル/9KB]

 [Wordファイル/36KB]

資料1-4 顧問弁護士相談結果

 [PDFファイル/88KB]

 [Wordファイル/86KB]

【政策企画部長】
・まず、知事の判断をお示しいただきたい。

【知事】
・河川室に長期間負担をかけてしまって申し訳なかった。もともとのきっかけは2年前、ここまで詰めない段階でGOをかけたこと。着工までしておきながら思いとどまったところが、この問題の根本原因。国が、前原大臣が大きな方針を出したので、もやっとしたものがあって、突っ込んだところ、こうなった。
・私の考え方の骨子を資料として整理している。これが私の政治判断。
・私は脱ダム論者でもないし、絶対的自然環境保護者でもない。また、今回の件は、コストの件も言われているが、そうでもない。真の安全安心はどこにあるんだろうということを考えてきた。河川行政や治水工学を全否定するのではなく、それは尊重して、特にハイウオーターレベル(以下HWLと表記)の意味合いも十分理解し重視した。
・そして、論理的には、ダムと今回の河川改修案は、必要条件として、65ミリ対応、治水工学上のHWLのところを考えたときに、両方とも成り立つ。一方、超過洪水については、河川室が言うように、計画的にはかなりスペックが大きいダムをつくるので、多くの雨で超過洪水は防げる、防ぐ範囲が広いというところも理解している。だた、計画論的な超過洪水、HWLを超えないというところでの便益だけではなく、そもそもまちが雨に強いまちになるかという面で、ダムの持つリスク、河川改修の持つ王道の意味ということを考えないといけない。そうなると、必要条件で65ミリ対応として、ダムと河川改修が同列に並んだ以上は、やはり王道で見ていくべき。
・あの現場があそこまでの現場でなければ、ダムということがあり得たかもしれない。しかし、現場をあのままにしておいて、ダムという壁をつくるというのはどうしてもひっかかりがあった。多くの写真で現場の状況は大体把握していたが、最後に先日の意見交換の前に現場を歩いて、もう一度再度自分の目で確かめて、やっぱりこれは王道でいくのが本来の姿じゃないかという思いを強く抱いた。あの家の状況、河川の状況、護岸の状況を見ると、専門的にどういう形になるのかは分からないが、河川改修、家をセットバック、管理道路をつくる、いろんなことやりながらしっかり先につくっていくべきだという思いが頭から離れなくなり、最後は安心安全という面でそちら側にすべきだと思った。
・リスクの点はいろんな議論があって、顧問弁護士の意見も資料をつけているとおり。弁護士とも直接議論をしたが、リスクがないという状態ではないのは認識している。特に、一回着工しているのに、そのあと中止をかけて被害が出た場合の法的リスクというのは当然あるというのが前提だが、今回は、そのリスクも見た上で、河川改修をやることを躊躇し、とどまるほどのリスクではないと考えた。雨の時期とか、今まで以上に、注意レベルを上げて、避難などのサインは地元に出さないといけない。しかし、だからといって、その被害を恐れて、今回まちの状況を変えることを踏みとどまるほどのリスクではないと判断した。
・あとは、今までの地元との積み重ね、経緯、ここを変えていくというのは相当な負担になるので、統一地方選挙後になるが、私も地元に入って、現場との折衝をスタートしようと思っている。
・繰り返しになるが、あの現場の状況からすると、もちろん今までの判断として80ミリ対策というものに突っ込んでやっていくということであれば、手戻りのことも考えてダムという判断が別に間違っていたというわけじゃないと思う。しかし、財政状況とか、その他に予算を回すこととか考えて、新しい治水方針に転換して、槇尾川では65ミリ対策までというところになった。これは、以前の判断が間違っていたということではなく、槇尾川の治水を一旦、当面20年から30年ぐらのスパンでの政策判断をする基準を65ミリ対策とし、こうしたことに伴い、このような判断に至った。65ミリ対策の治水をやる方法としては、あそこにボンと壁をつくるのではなく、まずは河川改修でまちの姿を変えにかかるということろが先決じゃないかと判断した。

【政策企画部長】
・知事の判断は示されたが、確認しておくことがあれば。

【総務部長】
・法的リスクの話で、もともと立てていた方針を変えるということで、顧問弁護士は、白地で判断するより高い合理性が求められること、それから方針を変えたことによって、治水の効果が発現する時期が遅れる可能性が非常に高く、その間に災害が発生した場合の国家賠償責任、といったようなことが議論の中であった。この間十分な議論を重ねてきたと思うが、一番のポイントは、新たな治水方針を出したことによって、ダムと河川改修が治水効果という点では、甲乙つけがたいという考えに至りました、というのがポイント。
・ダムと河川改修では甲乙つけがたい。その理由は50ミリを65ミリにしたからそういうことになったのか、80ミリを65ミリにしたからそうなったのか。

【都市整備部長】
・もともと大阪府の目標は80ミリだが、河川によっては50ミリを第1次の目的にもってきてやろうとした。槇尾川はそうだった。そこから80ミリにステップアップするというのが今までの考え方。ところが今回80ミリは長期の時間がかかるので、20年から30年の次の目標を設定しましょうと。これが今回槇尾川の場合は65ミリになっている。そうすると現実からいうと今までは50ミリが当面の目標だったのが、今回は65ミリになった。

【知事】
・治水効果の必要条件を比べるときには、長期というか80ミリを基準として今まで判断していたのを65ミリに引き下げたが、当面の治水目標としては、槇尾川は50ミリだったので、当面のところは50ミリから65ミリに引き上げたことになる。
・将来の80ミリとなると、今回私がこだわったところで、目標の中にも抽象的目標と施策決定をする具体目標があって、計画的な抽象目標は80ミリでいいが、20年から30年の具体目標としては採用しないということ。30年後にもう一度、その状況に至って府のいろいろな状況をみて、80ミリという数字を判断するということ。

【政策企画部長】
・治水対策のあり方を改めて判断したということ。長期的には80ミリを追求するものだが、治水計画としては、50ミリ、65ミリ対策というのが行政上の目標ということになるのではないか。

【知事】
・80ミリも完全におろしたわけでもなく、治水目標というか理想として。20年から30年の判断基準と、判断基準でない理想のものを区別して考えるべき。

【総務部長】
・当面の治水目標が、50ミリ対策から65ミリ対策に上がったことは間違いないと思うが、それは今回変更の判断する理由にはなっていないと思う。

【知事】
・判断の理由を必要性(積極的理由)と許容性(消極的理由)に分けて考えると、80ミリを判断として採用せず具体的判断基準は65ミリとして設定したという点は必要性で、65ミリまで上がったことは許容性。

【綛山副知事】
・30年先かもしれないが将来目標として、80ミリということでやってきたことを休止して、65ミリに目標を変えて河川改修に持って行くということ。
・いままでは50ミリ、80ミリの中で、2025年を目標にやってきた。現実に2025年はもうすぐそこ。80ミリは無理だろうということで、現実に即した新たな治水対策をつくった。それが80ミリを維持した65ミリ。50ミリより上がっている。高い目標は掲げておき、少なくとも50ミリと言っていたものを65ミリにすることによって府民の安全を守ろうということ。それがいまの基準。22年6月にその基準をつくった。それがあることによってダムの考え方も変わってきたということ。

【都市整備部長】
・治水手法の判断基準を80ミリという長期の目標から当面の65ミリに設定したということ。

【知事】
・そうなった時に、これまでの案であれば50ミリという目標が、65ミリまで上がるということ。

【総務部長】
・その結果、ダムと河川改修が甲乙付け難くなった。今まではダムが優位だったけれども、80ミリという次のステップとしては遠のかせたけれども、今は当面は65ミリまでやりますよという話か。

【都市整備部】
・判断基準は知事のおっしゃるとおり。ただ、それがダムを否定する決定的な判断基準にはならないと思う。最終的には、やはり最初に知事がおっしゃった河川改修王道論だと思う。そのバックグラウンドの中に、65ミリという比較を俎上に乗せ、さまざまな検討をした結果、こういう判断になったということで、最後のダメ押ししたのは、王道論ということだと考えている。

【総務部長】
・甲乙付けがたいからこそ、王道論で勝負したと。

【都市整備部】
・決め手は先ほどの河川改修を優先すべきということ。今の不適格の状態を改善すべきだというのが判断だというロジック。

【知事】
・そこが一番のキモで、一般論、王道論に行く前に、槇尾川に限っては、80ミリという理想論から現実論で具体の判断基準を65というところにしましたということ。

【政策企画部長】
この議論の前提は新しい治水というものの考え方と、それを槇尾川に適用すること。その際に河川整備委員会でも五分五分であったということが大前提になっているが、それは治水行政の論理としてそのように言い切ってもいいのか。

【都市整備部】
・当然手法としては、局所改修というものはあり得る話であるし、一つの立派な手法であり、五分五分ということになる。

【政策企画部長】
・その前提があって、あと、事業中の工事を別の手法に転換するというときに、どれだけの合理性とどれだけの手続きを踏んだのかが問われる。必要な議論は十分されているかどうか、そこは当然十分されているからこういう判断に至ったと思うが、論点は出尽くしているのか。

【都市整備部】
・その点は、今までの河川整備委員会で十分に議論されていると考えている。

【小河副知事】
・何もしていない時の議論はいいが、最後は政治判断。これは行政的、積み上げではできない。十分これまで議論してきた。知事が判断したら、我々はそれを受けてやる。我々はいかに早く安全にしていくか。次の体制を早くとらないといけない。

【木村副知事】
・普通評価するときに実現可能性の議論が必要。現地へ行ったが、河川改修はかなり厳しいのではないか。部局として対応できるのか。

【都市整備部長】
・平成27年度という同じ時間軸ならば相手もあることであるし自信はない。あとは地元の合意形成、用地買収が必要。

【木村副知事】
・知事にもまた地元に入っていただくことになる。

【小河副知事】
・これまでの経験からすると、皆が一本になれば、時間がかかったとしても、やっていかなければならない。これは治水の問題で住民の安全にかかわる。逆に、地域のいろいろなところから、早く進めてほしいという声も上がってくるだろう。今まで地元にご迷惑をおかけした分、あの地域をどうするかということに、我々がきちんと温かい気持ちをもって見ていかなければならない。

【政策企画部長】
・現在の付け替え道路は、下流からやってきてダムポイント付近までできている。現道へのすりつけが入っていないが、今後どうするのか。

【小河副知事】
・これから知事が地元に入るのであれば、どうしたらよいか、地域と話していかなければならない。「すぐに現道にすりつけろ」といった制約があると、地域とも話ができない。地域開発を絡めた話の中で決めなければダメ。

【都市整備部長】
・今はダム事業として合理的な地点で現道にすりつけているが、ダムが無くなったときに地元が何を求めるか。たとえば地域振興といった形を望まれるのであれば、ダム地点ですりつけるのではなく、もっと先まで延ばせという話が出てくるかもしれない。

【政策企画部長】
・これまで地元は行政を信頼してくれていろいろな協力をしていただいた。それに対し、行政はどれだけのことをして差し上げられるか考えて、ベスト・チョイスをするというのが、地元と信頼関係をつくるための次のステップになる。

【都市整備部長】
・ダムのために買収した土地をどう使うかといったこともこれからの話。

【政策企画部長】
・公共事業の撤退をすれば、かなりの費用もかけなければならないという覚悟が必要。

【木村副知事】
・少なくとも、今のダム予定地点にさっと道路をすりつけるというのは無理な話。一番先まで延ばせとは言わないが、少し下ぐらいまではつながないと。

【綛山副知事】
・それが実現できるように、我々は次の手順をどうしていくか。まずはダム建設の中止を決めた。そしたら次は道路をどうしていくか。国との関係でどういう議論を構築し、どれだけ国に助けてもらうかといったことも含めて考えていかないと。ダム建設を中止した責任は大阪府にあるのだから、できるだけ国との関係でうまくまわっていって、より事業効果が上がるようにさせてもらうことが地元の説得にもつながる。平成28年にはできるということを目標においたうえで、それができるように努力するしかない。その前提で取り組まなければ仕方ない。

【知事】
・小河副知事と都市整備部、河川室の皆さんに確認したい。あの地域において、実現可能性といったことを抜きにして、本当に安心・安全な水害に強いまちというのを考えたときに、やはり私の言う「王道」で間違いないか。

【都市整備部】
・先日、知事が地元に行かれた際も、ダムはやってほしいということだったが、セットバックはやっていくと。セットバックの必要性は地元も認識されていると思う。

【知事】
・「王道」の方が安心なのはわかるが、これまでの経緯があるからダムをやってほしいということか。

【小河副知事】
・これまでの経緯もあるが、特に私も要望を受けているのが、早く治水効果を出してほしいということ。それが一番。知事のおっしゃることも理解できるが、早く効果を見せてほしいという思いが強い。

【都市整備部】
・ダムをやって、セットバックもできればというのが本音だともおっしゃっておられた。

【都市整備部長】
・10日、14日と、地元の方が府議会の各会派に申し入れをされているが、その中でも、「将来のまちづくりは地域として取り組んでいく。そのためには、まずダムがあればじっくり取り組める」という言い方をされている。

【知事】
・セットバックや河川の拡幅が安全につながるというところは何とかご理解いただいている状況にはなっているのか。

【都市整備部長】
・以前知事が「時間雨量80ミリ対応をするためにはそれが必要」とおっしゃったことは理解されている。ただ、今回順番が逆になるというところで、安心感が先延ばしになってしまう。

【知事】
・実際に現場は、蛇行してみかん畑の箇所の護岸も低くなったり、家があったりということになるが、だいたい概略で、河川改修となると、蛇行したままの状態で改修するのか。

【都市整備部】
・河道の修正も必要だし、管理用通路の確保もポイントになると思う。

【知事】
・家の位置も含めてか。

【都市整備部長】
・家を移転させて離隔をとる方法と、逆に河道をバイパス的にふってしまって離隔をとる方法と両方ある。それはこれから地域と。家を動かさずに改修する方法があれば、その方法は受け入れてくれるかもしれない。場所によって条件が変わる。

【都市整備部】
・コミュニティの崩壊を心配されているので、そういったことも考えていかないと。

【知事】
・現地をどう強くするかを考えた時には、あの状況をみると当面、ダムの壁をつくっていつ80ミリの改修をやるかわからないという状況よりも、困難かもしれないが、まち自体を変えていくという方向をとるべきだという思いがどうしても頭から離れない。非常な困難を皆さんにお願いすることになると思うが、地元にもう一度理解が得られるように。

【政策企画部長】
・河川の最上流部で、家屋が建っている場所がなぜ浸水するのか。もともと人間は水に浸かるような所に家を建てない。どうしてあの川で家屋が浸かるようになったのか。山の保水機能がもっと高かったが、保水力が落ちてきたのではないか。

【小河副知事】
・そのとおり。もともとはそんなに水が来なかった。雨の降り方も異常になってきているが。そういう意味で確かに、山の政策というか。林業は業として成り立たないのでほったらかしになっている。そこに我々がもう少し力を入れてあげることが必要。みどりのダム的な発想を。もちろん復元はいるが。そういう見方をしていくと違った展開があると思う。そういうことも含めて一つのモデルにしてしまうということもありうる。

【政策企画部長】
・本日の結論として、槇尾川の治水対策は、ダム建設は中止。ダムに頼らない河川改修案を大阪府の方針とするということでよいか。この後、まず地元に直接お伝えいただくということと、明日戦略本部会議を開いて、地元の状況を報告いただいて、公開の場で再確認する。

【知事】
・最後は私の判断なので、選挙後、私が行くといってほしい。選挙後と言っても、選挙があって忙しいというわけではなくて、議会もあるし、新年度、こちらの体制を整えたうえで、改めてということ。

このページの作成所属
政策企画部 企画室政策課 政策グループ

ここまで本文です。


ホーム > 府政運営・市町村 > 政策 > 大阪府戦略本部会議 > 平成22年度第23回大阪府戦略本部会議 議事概要【議題1】