救急業務の高度化について

更新日:2020年3月12日


 救急業務は昭和38年に市町村の消防機関の事務として法制化されて以来、既に50年以上が経過し、国民生活に不可欠な行政サービスとして全国的に普及、定着しています。その間、逐次その高度化が図られてきましたが、特に平成3年に導入された救急救命士制度は、消防機関が担う救急業務の高度化と病院前救護体制の充実を図る上で、大きな意義を有するものであり、傷病者の救命率および社会復帰率の向上に寄与してきました。


 しかしながら、近年における少子・高齢化社会の進展、疾病構造の変化、健康に対する価値観の多様化等、わが国の救急医療を取り巻く環境は大きく変化しています。そのため、発足以来10年を経過した時点で救急救命士制度を点検し、傷病者搬送途上における救命効果の一層の向上を図るため、国において施策の検討が重ねられた結果、メディカルコントロール体制の整備・充実の下、救急救命士の処置範囲を拡大するとの方針が出されました。


 大阪府ではこの方針を受け、救急業務のさらなる高度化に取り組んでいます。

 

  

メディカルコントロール体制の充実


 メディカルコントロールとは、医学的観点から救急隊員が行う応急処置等の質を確保することであり、大阪府では、平成14年に都道府県レベルのメディカルコントロール協議会(大阪府救急業務高度化推進連絡協議会)を発足させ、あわせて府内8つの二次医療圏において、メディカルコントロールを行う地域メディカルコントロール協議会を設置し、救急隊員が行う応急処置等の質を確保する体制を構築しています。
 また、令和元年度から、消防と医療のさらなる連携強化を目的として、救急医療について審議する機関(大阪府救急医療対策審議会)と一体化を図り、その専門部会として大阪府救急医療対策審議会救急業務高度化に関する部会を設置し、府域における救急・医療体制のさらなる質の向上を図っています。

【メディカルコントロール体制の具体的な内容】

  1. 救急救命士の再教育体制の充実(事前のメディカルコントロール)
  2. 救急救命士に対する医師の指示体制、救急救命士を含む救急隊員に対する指導・助言体制の高度化
    (オンラインのメディカルコントロール)
  3. 救急活動の医学的観点からの事後検証体制の充実(事後のメディカルコントロール)

救急救命士の処置範囲の拡大

 
救急救命士の処置範囲の拡大については、メディカルコントロール体制の充実・強化の下、次の行為が認められています。

  1. 医師の包括的指示による除細動
  2. 気管挿管(ビデオ硬性挿管用喉頭鏡を含む)
  3. 薬剤(アドレナリン)投与
  4. 自己注射が可能なアドレナリン製剤の投与
  5. 血糖測定と低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与 (別ウインドウで開きます。)
  6. 心肺機能停止前の静脈路確保と輸液  (別ウインドウで開きます。)

気管挿管、薬剤投与、血糖測定と低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与及び心肺機能停止前の静脈路確保と輸液については、必要な教育を修了した救急救命士のみが実施できることとされています。特に気管挿管については、麻酔科医の指導の下で30症例以上の病院実習の修了が必要です。

このページの作成所属
政策企画部 危機管理室消防保安課 消防指導グループ

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